〔約1400文字|読了の目安:2.8分〕
書物をスキャンした画像はJPEG(追記:WebPの方が圧縮率は高い)で保存する。PDFで保存するスキャナーもあるが、内部はJPEGなので同じことだ。PNGだと可逆圧縮なので画像が劣化しないが、ファイルサイズが増えるし処理時間もかかる。
JPEGの圧縮率はソフトによって指定方法が違うので、これだ、と明確に指定できない。また圧縮アルゴリズムも複数あるようで、ソフトが異なると、同じファイルサイズだからといって同じ画質になるとは限らない。
代表的なソフトでの圧縮率の指定方法
| 画質:低~高 | |
|---|---|
| Photoshop | 0~12 |
| GIMP | 0~100 |
| XnConvert* | 0~100 |
*: 複数の画像を一度にレベル補正、トリミングなどの処理をするソフト。スキャン後に使用する。
Photoshopでの画質とファイルサイズの比較
↓画質の比較
↓ファイルサイズの比較(文章)*1
| 圧縮方法 | 圧縮率 |
|---|---|
| 無圧縮 | 100% |
| PNG | 14% |
| JPEG 画質10 | 15% |
| JPEG 画質8 | 10% |
| JPEG 画質5 | 8% |
| JPEG 画質0 | 5% |
↓ファイルサイズの比較(漫画)*2
| 圧縮方法 | 圧縮率 |
|---|---|
| 無圧縮 | 100% |
| PNG | 36% |
| JPEG 画質10 | 29% |
| JPEG 画質8 | 21% |
| JPEG 画質5 | 15% |
| JPEG 画質0 | 9% |
*1: 文章のみの1ページを圧縮して比較。無圧縮を100として比率を計算
*2: 漫画の1ページを圧縮して比較
文章のみのページでPNGの圧縮率が高いが、これはPNGはベタ塗りの画像が得意なため。余白が多いので圧縮率が高くなっている。漫画は画像が複雑なので圧縮率が落ちる。
文章のみの本ならPNGでもいいが、PNGは圧縮/展開に時間がかかる。文字の周囲に多少ノイズが出ても読むには支障ないので、JPEGでいいと思う。
とはいえ文字の周囲にあまりノイズが出るとOCRに支障が出る。ファイルサイズとノイズのちょうどいい点を探ると、通常は圧縮率8、画集など大事な画像は圧縮率10というところではないだろうか。
Photoshopと他のソフトの圧縮率の比較
Photoshopと他のソフトで、ファイルサイズと画質が大体同じになる圧縮率の値はこの辺。
| 通常 | 高画質 | |
|---|---|---|
| Photoshop | 画質8 | 画質10 |
| GIMP | 85% | 93% |
| XnConvert | 80% | 95% |
ソフトによってJPEG圧縮のアルゴリズムが違い、XnConvertは、Photoshopに比べると少し画質が落ちる。
JPEGの保存オプションにある「最適化」という項目をオンにすると、画質は変わらずファイルサイズが少し減る。それ以外のオプションは使う必要はないと思う。
本1冊のファイルサイズ
解像度300dpi、圧縮率をPhotoshopの画質8相当で自炊した場合、本1冊のファイルサイズを平均すると、これくらいになる。
文庫本(小説)……約54MB
少年ジャンプ単行本……約130MB
テラバイト級のハードディスクがある現状からすると、もっと画質を上げてサイズを増やすこともできる。
だがタブレットのような携帯機器で読むことを考えると、ストレージ容量に限度があるのである程度抑えたい。サイズが大きいと携帯機器への転送にかかる時間も延びる。
Kindleなどで販売されている少年ジャンプ単行本の電子書籍は、1冊30~50MBらしい(最近はもっと増えてるかも)。自炊した場合に比べて低画質なことが伺える。
低画質な電子書籍を紙の本の8~9割程度の値段で売っているわけだが、消費者は解像度とJPEGノイズのことなんてわからないとタカをくくっているのだろう。一方で4Kとか8Kとか高解像度の商品が売りにされているのはおかしい気がするが。

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