最近のマスコミが、高齢運転者の起こす交通事故が増えているという論調で報道を続けているが、実際には増えていない。
https://www.npa.go.jp/publications/statistics/koutsuu/toukeihyo.html
https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/bunseki/nenkan/060307R05nenkan.pdf
「令和5年における交通事故の発生状況について」警察庁交通局 p.8
75歳以上による交通死亡事故数(棒グラフ)は、平成25年に460件、令和5年は384件。
令和2年が333件だったため警察庁は「近年増加傾向」と書いているが、平成25年から見れば全体的に下降傾向だ(高齢者の数は増えていることに注意)。
そして死亡事故率(赤い折れ線・10万人当たりの事故件数)は明らかに右肩下がり。
75歳未満の死亡事故率(青い折れ線)よりも勢いよく減少している。
https://www.npa.go.jp/koutsuu/kikaku/koureiunten/menkyoseido-bunkakai/prevention/2/siryou2-4.pdf
年齢層別の免許人口当たり死亡事故件数
年齢層別に事故率の多さを並べてみると、
①85歳以上:15.1 ※高齢者
②16~19歳:10.1
③80~84歳:9.1 ※高齢者
④75~79歳:6.1 ※高齢者
⑤20~24歳:4.6
⑥70~74歳:4.4 ※高齢者
1位は確かに85歳以上だが、2位に16~19歳、5位に20~24歳が入っている。高齢者の運転が問題ならば、16~24歳の運転事故も問題視しなければおかしい。
さらに、高齢者に多い死亡事故は、グラフのオレンジ色の「1当及び1当同乗者のみに死者がある件数」、つまり事故を起こした車の運転手か同乗者だけが死亡した場合だ。
だからマスコミが煽っている「高齢者の車に轢かれる危険性が高い」というのはまったくのデマということだ。
高齢になると認知能力が落ち、運転事故が増えるのは確かだ。しかしそれは昔からそうだ。16~24歳の運転事故が多いのも、昔からそうだった筈だ。
そして昔に比べて事故数と事故率は減っているのに、今になって「高齢者の運転が危険」だとマスコミは騒ぎ出した。おかしな話だ。
この原因は、
・高齢化社会への不安
・2019年の東池袋自動車暴走死傷事故(加害者が当時87歳)の衝撃
だろう。
高齢者の免許返納と、移動手段をどう確保するかは大事な問題だ。しかしマスコミは事故が減っているというデータを無視して不安を煽り、世間もそれを批判せず鵜呑みにする。マスコミも国民も感情で動いているということだ。



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