登録者数が少ないVTuberの内輪感

2025/03/30

ネット

〔約2300文字|読了の目安:4.6分〕

 VTuber(配信者)は、登録者数の多い少ないによって、リスナーとの距離感が変わる。登録者数が少ないとコミュニティに内輪感を生みやすい。
 この仕組みを以下に詳しく見ていく。

〈目次〉
登録者数の多寡とコミュニティの内輪感
チャットの読み方による話題の違い
媚びから始まる悪循環
親密な内輪感
初見歓迎は内輪的
狭く深い関係になりがち
まとめ

登録者数の多寡とコミュニティの内輪感

登録者数が少ない

・VTuberが覚えてるリスナーの割合が多い
  ↓
・VTuberとリスナーとの距離が近い
  ↓
・常連の存在感が強い
  ↓
・新規リスナーが入りにくい
  ↓
・内輪感が強い

登録者数が多い

・VTuberが覚えてるリスナーの割合が少ない
  ↓
・VTuberとリスナーとの距離が遠い
  ↓
・常連の存在感が弱い
  ↓
・内輪感が弱い

 登録者数が少ないと内輪感が強まるため、新規リスナーが入りづらくなる。ただでさえリスナーが少ないのに、それ以上増えにくくなるという悪循環に陥ってしまう。

チャットの読み方による話題の違い

 登録者数の差はチャットの読み方に現れる。これは話題の主導権をVTuberが握れるかどうかに関わり、これも登録者数が少ないと内輪感が出る原因になる。

登録者数が少ない

・チャットの流れが遅いため、VTuberがすべてのチャットを読むことが多い
  ↓
・リスナーが好き勝手なことを書いても読んでもらえる
  ↓
・VTuberが話題の主導権を握れない

登録者数が多い

・チャットの流れが速いため、VTuberがすべてを読むことはない
  ↓
・VTuberが選んだチャットだけを読む
  ↓
・VTuberが話題の主導権を握れる

望ましい会話とは

 ここで、一般的に望ましいとされている会話はどんなものかを確認しておく。
 大抵の話し方の本に書いてあるのは以下のことだ。

  • 相手の話を聞く(聞き上手になる)
  • 自分の話ばかりしない
  • 人の話を横取りしたり、腰を折ったりしない

リスナーは好き勝手に話す

 登録者数が少ない配信で見られる好き勝手なチャットというのは、例えば「初詣に行ってきた」という話題が出たら、

 リスナーA「初詣なんてもう何年も行ってないなあ(自分語り)
 リスナーB「寺と一体化した神社ってあるよね。神仏習合っていうんだよ(知識の誇示)
 リスナーC「初詣に行った帰りに美味しいお店を見つけた(話を横取り)

 という、望ましいとされている会話に反するものだ。
 各々のリスナーが好き勝手なことを言うため、話題が拡散し、雑多で脈絡のない会話になってしまう。登録者数が少ないVTuberの配信では、このような光景が日常的に見られる。

好き勝手なチャットが読まれると内輪になる

 登録者数の少ないVTuberの配信ではリスナーが好き勝手なことを書いても読んでもらえるため、このような雑多な会話が許されてしまう。
 このような会話は常に駄目なわけではなく、家族や友人のような親しい間柄では見られる。深い意味を持たず、ただ話すことを目的としているからだ。
 そのような会話が許されるということは、配信が家族や友人の間柄のような内輪な雰囲気になっていることを示している。

開かれた配信

 誰でも楽しめる開かれた配信にするには、VTuberが話題の主導権を握り、話が逸れないようにする必要がある。
 登録者数が多いVTuberは読むコメントを選べるため、話題が逸れず、開かれた配信にできる。

媚びから始まる悪循環

 登録者数が少ないVTuberは、登録者を増やそうとリスナーに迎合する。それがコミュニティの質の低下に繋がり、登録者が増えないという悪循環に陥る。

〈VTuber〉「初見さん歓迎」「初心者です」「○○人にあいさつしたい」「今なら古参になれます」とアピールする
  ↓
〈リスナー〉「自分が支えないと」「教えてやる」「何でも聞いてもらえる」と傲慢になる
  ↓
〈リスナー〉自分語り・誇示・指示・過干渉が増える(承認欲求)
  ↓
〈VTuber〉リスナーを減らしたくないため注意しにくい
  ↓
 コミュニティの質が下がり、新規リスナーが増えない

親密な内輪感

〈VTuber〉コミュニティの安定のため、常連と親密に交流する
  ↓
〈リスナー〉常連が厚遇され、内輪感が出る。質の低い常連の自己主張が許される
  ↓
〈リスナー〉不公平に感じる
  ↓
 新規リスナーが入りづらくなる

初見歓迎は内輪的

 以上のような内輪感を認識しているつもりのVTuberやリスナーが「初見に優しくしよう」と言い、新規リスナーに声をかけたりチャット上でお茶を出したりすることがあるが、これは新規リスナーが入りやすいどころか内輪感を増しており逆効果だ。

 VTuberはともかく、他のリスナーが初見に優しくするということは、「私は常連であなたは新規だ」と言っていることになり、「ここには上下関係が存在する」と宣言しているも同義だからだ。優しくしているように見せかけてマウンティングをしている行為だ。

 内輪感を払拭しようとする行為を利用してまで内輪感を強めているわけで、この行為が見られるコミュニティは末期的といえる。

 開かれたコミュニティなら、常連と新規は平等に扱われた方がいい。

狭く深い関係になりがち

 登録者数が少ないVTuberは、収益を上げようと思ったら、少数のリスナーに多額の支援をさせなければいけない。すると一部のリスナーと深い関係になり、リスナーも見返りを求める、危険な状態になる。
 登録者を増やし、広く浅い支援を受け取る方が安全だ。

まとめ

 登録者数が少ないVTuberは、常連リスナーを大事にしているつもりが、それが内輪感を強め、排他的になり、逆に新規リスナーが増えにくくなるというジレンマを生む。
 登録者数を一定数以上に増やすには、このことに気づき、登録者数が少ないときのリスナーとのつき合い方を変え、常連を切り捨てねばならないこともあるだろう。

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